1.皮から革へ
原皮の状態で輸入されました。 日本に輸入されるものは大半が養殖のものになります。 また、ワシントン条約に基づき正規に輸入手続きをしたもののみの お取り扱いです。
こちらは現在主流の背中の中心をカットしお腹部分をメインにした バックカットとよばれるものになります。 原皮で輸入された場合、皮は痛みにくいよう塩漬けの状態です。 冷蔵庫の中で厳重な温度管理の元保存されています。 海外と契約を行って輸入された原皮は基本的に直接染色工場へ送られます。 さまざまなサイズの革が日本に輸入されています。中には全長3m以上のものもあります。
2.クロコダイルのなめしの作業1
薬剤を使って表面の塩を落とす作業です。 この状態の革をみると本来の姿に近づき生きているような質感になります。 気温や湿度により薬の効き目が違うのでその日その日で薬の調合配分を変えています。
3.クロコダイルのなめしの作業2
ここが皮から革にするための最終プロセスになります。表面の組織を変えて革としての下地つくりの作業をします。生きている頃は油分などで表面の繊維や組織が保たれるているのが死んでしまうと再生機能を失い皮が硬くなってしまいます。それを防ぐためにまた別の薬剤を使用し表面の成分を組み換え、腐らず滑らかに保てるようにするために行います。このドラムには120匹分のクロコダイル革が入っています。
因みに・・・・ こちらのドラムは日本製で釘一つ打たず、厳密に計算尽くされた板を組み合わせ外から 金属で締めるのみ(簡単にいうと輪ゴムのようなイメージの働き) 日本製のドラムだからこそワニ革に与える負担も少ないのではとの事です。このような機械にもメイドインジャパンの業が活かされています。
4.クラストへ
クラストと呼ばれる状態。やっと革と呼べる状態になりました。
こちらのクラストに仕上げた状態で海外から輸入されることもあります。
その場合は染色からスタートすることができ加工時間を短縮することが可能になります。
革は水につけると縮む習性があるので、なめされ染色前の下地であるクラストにした後、均一に染めあげる為に革を伸ばす作業が必要です。
ここで難しいのが、引っ張りすぎていても革の質を悪くしてしまうため、絶妙なラインを見極め、伸ばしていきます。
きれいに板に打ち付けられました。
5.染色前準備1
革の厚みを均一にするため内側を削る作業 職人達が確認しながら少しずつ行います。
染色にベストな厚みに仕上げる為、作業は慎重に・・・。
失敗すると革に穴が開いてしまうため見極める経験や高い技術が必要です。
6.染色前準備2
これから染色の準備作業に入ります。 染色した際に、ドラムの中で革同士がぶつかり合い、絡まってしまうためこのように結んでしまい、絡まらないでよいように工夫します。
もちろんこれも手作業で1つずつ行っていくので 根気のいる作業です。
7.染め上げ
再度ドラムで下地のクラストを染め上げる。時間をかけしっかり染料と革を馴染ませていきます。ほんの少しの染料の配合などで完成のイメージが大きく異なるため希望のカラーに染色する為の調整ができるようになるまでたくさんの経験と知識を要します。
8.乾燥
染め上った革を乾かします。その後、板に打ち付け再度革を延ばす作業を行います。大変手間のかかる作業になりますが良質な染め上りに仕上げる為の重要な工程になります。
9.染め上がり
これらの多くの工程を約3か月かけ仕上げられ皮から革へ生まれ変わりました。 ここから等級分け、採寸などが行われ、出荷作業に移ります。一枚一枚同じものはなくサイズ、質感が異なる為、単品で管理されています。
サイズや等級によりバッグ、シューズ、ベルト、財布などの小物用と分けられます。